日本最大の動画投稿サイトであるニコニコ動画は、現在衰退していると言われています。
順調だったプレミアム会員数の伸びも2015年中頃に鈍化、2016年にはついに減少に転じ収益にも影響が出ているレベルです。
果たしてその原因は何なのか、個人的考察ではありますが解説していきます。
そもそも何故ニコニコは発展したのか
衰退の原因の前に、何故ニコニコがここまで巨大化できたかを語る必要があります。
まずその発祥がYoutubeの寄生サイトであり、さらに2ちゃんねる住人の移住先として真っ先に注目されました。
いきなりアングラ感が半端ありませんが、ホ○ネタが未だに人気などそのアングラとしての源泉の魅力が今も維持されています。
規制の加速するテレビに飽き飽きした若者たちが飛びついた動画の遊び場、それがニコニコです。
アングラがアングラのまま巨大化するには何よりも「コミュニティ」としての機能が重要ですが、ニコニコはこの点上手くいっていました。
例えば代表的な流れるコメントは動画主と視聴者、視聴者同士の優れた対話ツールなのです。
発展できた理由は色々ありますが、最大の物はこのコミュニティとして非常に優れていた点にあるでしょう。
コミュニティの一生
コミュニティの一生というコピペがネットでは有名です。
掻い摘んで言うと面白い人が面白い事を始めた場に憧れた凡人が入り込み、その場をつまらなくし面白い人が去っていくというものです。
ニコニコの場合はあまりに巨大なために新しい才能も次々に入ってきて問題にはなりにくいです。
しかしそれでも10年もやっているとユーザーの不満や悪い空気は少しづつ澱のように溜まっていくものです。
相対的な価値低下
ニコニコが登場した時点では競合相手と言うのは存在しませんでした。
パクリ元のはずのYoutubeでさえもニコニコからの転載だらけという有様です。
それも規制などあるにはあるが他と比べて無いも同然のコミュニティとしてワンアンドオンリーだったからに他なりません。
が、現在その価値は相対的に低下しています。
今やニコニコ内で動画以上のウェイトを占めていると言える生放送で競合相手が山ほど存在します。
さらにコミュニケーションツールとして手軽なSNSも登場・普及。
総合すると人と繋がるのにニコニコである必要性がどんどん薄れていってしまっているのです。
低い技術力
加えてニコニコの致命的な点として、技術力の不足があります。
Youtubeなど他と比べて圧倒的に遅れて導入したHTML5プレイヤーの重さ・使いにくさにそれは顕著に表れています。
サイトの基礎設計に関わった技術者を追い出したり偉い人が古いものに固執する人だから移行が遅れたとか色々言われていますが、技術力の低さは確かです。
AMDが天才エンジニアの力でRyzenを出していきなり復権するようなウルトラCもあり得ないとは言いませんが、経営にも同時に口を出せるぐらいでないと改善は難しいでしょう。
旧態依然とした仕様
しかし今までに挙げた競合相手が現れたり技術で劣ってたりするのは、新規開拓の面ではまだマシな部分です。
例えば最近の動画サイトの仕様として多いのはアカウント無しでも見るのが可能というものですが、ニコニコは依然としてログインしないと見られない前時代的なものです。
アカウントを作るというのは非利用者にとってはそれだけでハードルなのです。
例えばコメだけはログインしないとコメ不可ぐらいの感じであれば、しばらく見るだけだったのがコメ打ちたくなったからアカウント作成というステップも期待できるでしょう。
ユーザーとして望む事
恐らくニコニコの不満点・問題点を詳しく積み上げていけば論文が10本ぐらい出来上がってしまうでしょう。
いかし言うまでもないですが、ユーザーが本当にしたいことは不満を駄弁る事でも本社爆破でもありません。
改善です。
いつものように足掻いた上に斜め上の間違った改善をするのではなく、みんなニコニコできるちゃんとした改善を求めているのです。
コミュニティの場としてはやはり素晴らしいものがあるのですから。